一点五流

1.5流の人間が「コンサルティングファーム」と「投資銀行」を両方経験したからこそ分かったことを書きます

#10 投資銀行の仕事

投資銀行業務とは何か

例として、ゴールドマンサックスの投資銀行部門は、「M&A関連業務、資金調達関連業務、自己勘定投資関連業務を三つの柱として、ますます複雑化する事業・財務環境におけるお客様の課題に対するソリューションを提供」と書いている。

Goldman Sachs Japan | - 投資銀行部門

これを読んで学生時代全く分からなかった。詳しい説明はHPに書いているのでそちらを読んでもらうにして、要はM&Aや資金調達の際に、アドバイスをするから金をくれよという仕事である。法律だったり会計だったり、そもそもどのぐらいのお金が妥当かとか、マーケット環境を知っている俺たちがアドバイスするよという手数料ビジネスである。自己勘定のところは毛色が違い、自分のお金で投資して、株価やら企業価値があがった時に売るというものである。

GSの投資銀行部門は事業再編や資産売却の受け皿的な役割を担うとしている。他の部門である企業投資部は、もっと純投資のファンドを運営しており、不動産ファンドも併せ持つ。これも学生が憧れる投資銀行業務であろう。

実は、外資金融にはこれ以外にも役割を持つ。というかそちらの方が、収益が大きいのである。それが証券部門

Goldman Sachs Japan | - 証券部門

金融機関(保険とか地銀とか含め)は預かっているお金を運用して利益を上げる。その資産運用だったり、アドバイスをしている部門である。売買の何%とかいったフィーを手数料としてもらう。セカンダリービジネスと言われる。

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やりたい仕事はM&Aだけなのか

さて、学生の時にあこがれる仕事は何か。正直言って、イメージもできないのに憧れの仕事を目指すこと自体が馬鹿馬鹿しいのだが、あえて考える。

例えばM&Aやりたいんですよねという学生。まず新聞にでかでかと載り、金額も大きい。2社が統合するというのは野次馬的にも面白いし、影響力も大きいからあこがれる感じか(ちゃんとわかっている学生はごめんね)

ではどこに行けばできるかというと、投資銀行業務のM&A部門にいかないとできない

後は、営業部隊である。この営業部隊が企業を訪問してM&Aだけでなく、資金調達から不動産まで様々な取引を提案して、いいねとなるとプロダクト部隊であるM&A,部門やエクイティ部門、デッド部門を連れて行く。

つまり、M&Aをする部隊は、GS>投資銀行部門>M&A部門or営業部門

と絞られた部門でしかない。いや、別に投資銀行ならなんだっていいやという人は別に気にしなくていいが、やりたいことが限定的だと入って違和感を感じる

また面接でもあまり絞り込まない方がよかったりする。どうせ最初はプール人材として何でもやらされるからだ。本当にM&Aをやりたいのであれば、ブティック系のGCAサヴィアンとか監査法人FASに行った方がやれると思う。

ただ、そんなのは外銀からは転職しやすいので、まずは外銀に入ることをお勧めする。そもそもM&Aプロセスのところで何をやりたいかにもよる。携わりさえ、すればよいのであれば、弁護士で法務DDでも構わない。ただ、学生時代はそんなことは知る由もなかった。

 

コンサルのM&Aとの違い

さらに脱線するとコンサルでもM&Aをやっている風を装っているところがある。あれは何か。デロイトの資料が分かりやすい

例えば、A社が中期経営計画を立てることにした。市場規模からして、これぐらいシェアをとりたく、数年後には500億に到達したいと考えている。ただし、この業界はすでに複数のプレイヤーがおり、地域ごとによって強い会社がいる。自力で支店をおいて、営業開拓をしてもいいが、時間がかかる。そんな時一つの手段としてM&Aが選択に入る。

さて、ではどういう会社をターゲットにすればよいのだろうか。シナジーはあるのか、効果はどのぐらいか、そもそも何を目的にM&Aするのだろうか。こういったM&Aするに当たり、事前の調査分析から方向性を示すのがM&A戦略である。これはコンサルがやることが多い。正確にいうと外に出す時はコンサルがやることが多い。自社で出来る、オーナー企業ならオーナーの頭にあって、どこどこを買え!みたいな指令があるともはやコンサルの役割はない。

もう一つコンサルが入るのがPMIと言われる、M&Aである。買収先も決まり、基本合意も契約もした。さて、どうやって統合しますか。戦略は?システム統合は?事務は?営業体制は?人事は?こういった統合を円滑に進めるアドバイを行う領域がコンサルの役割である。

これをコンサルはやりたがる。なぜかというと、一度これで入ると長期プロジェクトでとれ、かつ汎用性が高いので他社でやったノウハウが転用しやすく、全社的なことを知れるので、後々のプロジェクトもとりやすい。さらにWGとして複数立ち上がるので、それぞれに人を貼り付けると工数が増大し、さらにフィーが取れる。おいしいビジネスなのだ。ただ、個人としての立場では、長期プロジェクトになりがちなので、飽きるし、戦略のところに絡まないと工程管理に終始しがちになるので、数回やればいいかなというものだ。ただ、この領域で食っていくと経験がものを言うので、ありっちゃあ、ありなのだ。会社全体の仕組みもよく把握でき、リサーチばかりやるプロジェクトよりはお客さんへの貢献が大きいと思う。システム系や会計系にいくと専門の人がいるので、どうしてもやりたい人はそちらにいくといいと思う。

 

Season1 目次
#1 自己紹介と目次
就活ノウハウ
#2 コンサル内定法
#3 意識高い系に勝つ方法
#4 企業分析の仕方
#5 採用選考としてのインターン
#6 内定時にやるべきこと
仕事理解(コンサル)
#7 コンサルの仕事
#8 コンサルのやりがい
#9 コンサルを辞めた後の転職先
仕事理解(投資銀行
#10 投資銀行の仕事
#11 外資系と日系の投資銀行の違い
#12 投資銀行のやりがい
#13 投資銀行を辞めた後の転職先
企業・業界選択
#14 新卒でどこに入るのがいいのか①
#15 新卒でどこに入るのがいいのか②
#16 新卒でどこに入るのがいいのか③
#17 結局どこの会社がいいのか
知っておいた方がいいこと
#18 学歴フィルター
#19 大学でやるべきこと
#20 最も怖い配属リスク
#21 転職の波の読み方
#22 1.5流の悩み