一点五流

1.5流の人間が「コンサルティングファーム」と「投資銀行」を両方経験したからこそ分かったことを書きます

#22 1.5流の悩み

さて、22回にわたって書いてきたSeason1も最後になる。徐々にPV数が増えることがうれしかった。まだまだ書きたいことはあるので、また書き溜めてシリーズ化してリリースしたい。また、読みに来てほしい。

一流と1.5流の差

私は1.5流である。この1.5にはプライドとコンプレックスの間だと思っている。プライドとしては一流を目指したいのだ。でも能力を考えると二流(ほんとは五流ぐらい)なのだ。この1.5流の人間が一流っぽく生きていくにはどうすればいいかというのを書いてきた。なんと悲しいことだ。

一流の人は一切共感しなかっただろう。1.5流のレンジは幅広い。年収でいうと30歳で1000万のレベルだろうか、これは結構いる。外資だけでなく、総合商社、広告代理店、優秀な営業マン、そこそこ起業家などなど。そもそも会社にも幅があるので、会社内で評価されている人間は一流だ。そうでなく、とりあえずその会社に入って平均ぐらいの人。世間的にはいい会社に所属しているし、そのレベルも一流っぽいじゃん!という人には読んでもらったら納得できる内容だったかと思う。

雑誌などのインタビューに答えるような個人として独立している人や社長は超一流なので、彼らの言葉どおりしてもいいが、物が違ったりする。それは元の能力というより、努力のレベルだ。努力できる人は一流だ。1.5流レベルでとあきらめている人にとって参考になる読み物と思ってもらえればいい。

ただ、学生時代、今の自分に会ったら、すごくキラキラ見えただろうと思う。投資銀行やコンサルの人なんて、全員一流だと思っていた。まあ、そのころから見る目はなかったのだが、思っている以上に普通の人たちなのだ。そうはいってもみんな普通からするといい暮らしを送り、すごそうな仕事をしている。

 

大企業の看板に頼っている

もしかすると前提が違ったのかもしれない。仕事はすごいものだと。大組織の仕事はただの歯車であり、その人である必要は正直ない。もちろんそれなりの優秀な人である必要はあるのだが、そんなレベルの人はいくらでもいる。むしろそうでないと強い組織ではない代わりがきくからこそ、組織として素晴らしい会社なのだ。

一方で、大企業の人は会社の看板を背負って、生きている。ある意味、借りて生きている。看板がなくなっても、生きていけるか。お金を借りて、自分で商品を作って、売れるか。

大企業のトップの人も違う。将来の役員候補だ。看板がなくてもこの人なら独立してもやっていけるだろうな、でも大企業にいる方がレバレッジが効くからいるんだろうなという人である。実際は独立すると違うかもしれない。大企業で成功する人と起業して成功する人は微妙に違うと思う。大企業向けコンサルと中小企業向けコンサルとベンチャーキャピタルのコンサルも違う。

 

能力を測る物差しが欲しい

それでも能力には共通候があるじゃやないかと言われるともちろんそうだ。別にサラリーマンなんだから、そんなのを考えなくてもいいのだが、独立しても成功するかを1.5流は考えてしまう。いわゆる市場価値というものだろうか。

この市場価値もふわっとした言葉である。一般的には転職する時の年収か。でもこれも需給バランスや業界に差がある。金融や不動産、商社はもともと高い。メーカーで能力が高い人でも給与には限界がある。また、IT業界はエンジニアが足りなくて、どんどん高騰している。

では、エンジニアと投資銀行とメーカーの経営者で比較ができるか。できない。どれも別の専門性を持ち、それぞれの市場価値なのだ。どうしても人は一つの物差しを求める高校までは偏差値でよかった。それが、社会人になると年収や所属している組織になるが、そんなのそれぞれ違うのである。

どうしてもやりたい人は社内での評価に勤しむといい。最後は何か、何となく面白そうとかやりたいとか、何となくなことをやってみるしかない。完全に私の考え方だが、犯罪もせず、毎日コツコツ働いて税金を払っているのだ。それだけでも十分だ。それ以上は自己満足でやりたいことをとことんやればいい。でも人の評価は気になるのだ。どうやったらすごいねと言ってくれるか。所属する会社とか金とかメディアへの露出とかになる。

 

時だけが経つ

そのうち、起業して成功する人間が出てくる。それまで一流企業ではなかったので、気にもしていなかったが、役員になってすごそうに見える。メディアへの露出も増える。一方で、自分の仕事はというと下働き。

自分の上司を見てもいつまで経ってもしんどそうだ。部長は役員に怒られ、部長は社長に怒られ、社長は株主や米国本社に怒られる。いつまでたっても雇われで、資本家でないといつまでも抜け出れない。実は輝く人もそうなのだ。

学生時代はもう少し短縮できると思っていた。コンサルから転職すると部長ぐらいで転職できるとか、役員で引き抜かれるとか思っていたが、幻想でしかない。そう見える人はいるが、意外に45ぐらいまでかかっている。就職して20年必要なのだ。そこまで待てるか。焦りだけがつのる。

 

すべては自分の人生

でも考えてみてほしい。そんなものなのだ。時間がかかる。じっくりやるしかない。天才ではないのだ。親が金持ちでもないのだ。コツコツやるしかない。でも追いつかないかもしれない。それが人生なのだ。自分の責任なのだ。やりたいことをやろう。不満を言っているけど今の仕事をしているのは、なんだかんだ一番いいと思って選択しているのだ。ロジカルではないが、人間は正しいと思っていることを自然とやる、すべては自分の責任なのだ。

まだまだ考えることは山ほどある。それでも人生は続く。能力は五流。なのに一流に憧れる。1.5流は悩ましい

 

 

Season1 目次
#1 自己紹介と目次
就活ノウハウ
#2 コンサル内定法
#3 意識高い系に勝つ方法
#4 企業分析の仕方
#5 採用選考としてのインターン
#6 内定時にやるべきこと
仕事理解(コンサル)
#7 コンサルの仕事
#8 コンサルのやりがい
#9 コンサルを辞めた後の転職先
仕事理解(投資銀行
#10 投資銀行の仕事
#11 外資系と日系の投資銀行の違い
#12 投資銀行のやりがい
#13 投資銀行を辞めた後の転職先
企業・業界選択
#14 新卒でどこに入るのがいいのか①
#15 新卒でどこに入るのがいいのか②
#16 新卒でどこに入るのがいいのか③
#17 結局どこの会社がいいのか
知っておいた方がいいこと
#18 学歴フィルター
#19 大学でやるべきこと
#20 最も怖い配属リスク
#21 転職の波の読み方
#22 1.5流の悩み